【危険負担その他】
第35問
平成26年9月1日にA所有の甲建物につきAB間で売買契約が成立し、当該売買契約において同年9月30日をもってBの代金支払と引換えにAは甲建物をBに引き渡す旨合意されていた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
①甲建物が同年8月31日時点でAB両者の責に帰すことができない火災により滅失していた場合、甲建物の売買契約は有効に成立するが、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
②甲建物が同年9月15日時点でAの責に帰すべき火災により滅失した場合、有効に成立していた売買契約は、Aの債務不履行によって無効となる。
③甲建物が同年9月15日時点でBの責に帰すべき火災により滅失した場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
④甲建物が同年9月15日時点で自然災害により滅失しても、AB間に「自然災害による建物滅失の危険は、建物引渡しまでは売主が負担する」との特約がある場合、Aの甲建物引渡し債務も、Bの代金支払債務も共に消滅する。
※答えは下部に記載します。
【物権変動の対抗要件】
第36問
Aが所有者として登記されている甲土地の売買契約に関する記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
①Aと売買契約を締結したBが、平穏かつ公然と甲土地の占有を始め、善意無過失であれば、甲土地がAの土地でなく第三者の土地であったとしても、Bは即座に所有権を取得することができる。
②Aと売買契約を締結したCが、登記を信頼して売買契約を行った場合、甲土地がAの土地ではなく第三者Dの土地であったとしても、Dの過失の有無にかかわらず、Cは所有権を取得することができる。
③Aと売買契約を締結して所有権を取得したEは、所有権の移転登記を備えていない場合であっても、正当な権原なく甲土地を占有しているFに対し、所有権を主張して甲土地の明渡しを請求することができる。
④Aを所有者とする甲土地につき、AがGとの間で10月1日に、Hとの間で10月10日に、それぞれ売買契約を締結した場合、G、H共に登記を備えていないときには、先に売買契約を締結したGがHに対して所有権を主張することができる。
※答えは下部に記載します。
【答え】
第35問の答え
①誤り:売買契約が成立する前に、目的物が既に滅失していた場合、甲建物の所有権をのBに移転することがもともと不可能である。
②誤り:売買契約成立後に、債務者Aの責に帰すべき火災によって甲建物が滅失したのだから、債務不履行である。債務不履行があったのだから、BはAに対して損害賠償請求を請求したり、契約を解除できる。ただし債務不履行を理由に契約が無効になるわけではない。
③誤り:売買成立後に債権者Bの責に帰すべき火災によって目的物が消滅した場合、Aの甲建物引渡し債務は消滅するが、Bの代金支払債務は消滅しない。
④正しい:売買契約成立後に自然災害(不可抗力)によって、甲建物が滅失したのだから、危険負担だ。しかし、この場合「買主Bは代金を支払わなくてもよい」という特約をすることができる。
よって、この問いの正解は④。
第36問の答え
①誤り:Bは善意無過失であれば、10年間占有を続ければ甲土地の所有権を時効によって取得できる。即時に所有権を取得できるわけではないので、本肢は誤り。
②誤り:甲土地の所有者であるDに過失があり、かつ、売買契約を締結したCが善意である場合は、Cは、甲土地の所有権を取得することができる。本肢は「Dの過失の有無にかかわらず」とあるので誤り。
③正しい:不動産の物権変動は、原則として、登記がないと第三者に対抗できない。しかし、例外として「極悪」な第三者である不法占拠者に対しては、登記がなくても対抗できる。
④誤り:1つしかない甲土地を2人に売っているので二重譲渡である。二重譲渡の場合は先に登記した方が「自分の土地だ」と主張できる。本肢はどちらも登記が済んでいないので、どちらも相手に所有権を主張できない。
よって、この問いの正解は③。
今日から第2編の「物権の変動・危険負担・債権譲渡/不動産登記法/共有・区分所有法」という分野に入りました。
日常生活で触れることのなかった分野なので、参考書と首っ引きになりながら解きました・・・
そうしたら約2時間もかかってしまいました。
参考書を読み、問題を解き、問題の解説をしっかり読む、という流れでやってみたいと思います!
chieko.
手塚さん、ありがとうございます。
お元気ですか?毎日とは言いませんが、ちょ
温かい家族思いの気持ちが心をほんわりと
いいね!(^O^)/
そうです。そうです。 名前ははっきり覚